産業イノベーション人材育成等に資する高等学校等教育改革促進事業(N-E.X.T.ハイスクール構想 改革先導拠点)採択結果の分析と計画確認上の観点について  ―採択75拠点の全数分析による整理―

令和8年7月13日

一般社団法人デジタル人材共創連盟(デジ連) × 株式会社SAMURAI 文教事業開発部

目次

本資料の位置づけ

  • 文部科学省は、個別拠点の採択理由及び評価点を公表していない。
  • 本資料は、採択された拠点の公表情報及び属性データを基に、採択事例に確認される特徴を整理したものである。
  • 本資料は、個別の審査結果を説明するものではない。
  • 数値は、文部科学省公表資料及び採択拠点の属性データを基に整理したものである。

本資料は、「採択された75拠点に共通して確認される特徴」を基に、各都道府県が計画内容や事業実施体制を確認する際の着眼点を整理した資料である。採択事例の分析に当たっては、類型1は地域産業と専門教育、類型2は理数系人材の裾野拡大と教育課程上の工夫、類型3は多様な学習ニーズに対応する教育機会の確保という違いを踏まえる必要がある。

全体の要旨

  • 採択された計画は、地域の就業構造、人口動態、地理的条件、生徒の学習ニーズ等を起点とし、都道府県の産業施策、地域課題、教育課程、成果指標を一体で構成している。
  • 企業、大学、関係機関等との連携は、相手方の名称だけでなく、学校設定科目、課題研究、実習、進路支援等のどの場面で行うかまで具体化されている。
  • 施設・設備の整備は、教育課程、指導体制、人材配置、成果指標と一体で説明されている場合に、事業目的との整合性を示しやすい。
  • SSH、SGH、WWL等の国の事業実績は実施体制の裏付けとなり得るが、採択の必要条件ではない。指定歴が確認されない学校においても、教育課程の見直し、入学者選抜の工夫、成果指標の明確化により採択された事例が確認される。

本資料の構成

第1部 採択結果の概況

1.申請・採択状況

第1回から第3回申請分の累計では、申請179拠点に対し採択75拠点であり、採択率は41.9%である。採択上限額の合計は1,328.7億円、平均17.7億円、中央値16.9億円である(文部科学省公表資料による)。

項目内容
申請拠点数179拠点
採択拠点数・採択率75拠点・41.9%
採択上限額合計1,328.7億円、平均17.7億円、中央値16.9億円
類型別拠点数類型1:40拠点、類型2:19拠点、類型3:17拠点(1拠点は類型2・類型3の重複採択)
類型別平均採択上限額類型1:20.9億円、類型2:15.7億円、類型3:12.8億円
学力向上・学習支援との連携75拠点中48拠点(64.0%)。類型3では17拠点中15拠点(88.2%)
図1 申請・採択の全体構造。申請179拠点に対し採択75拠点、採択率41.9%。

2.公募回別の状況

申請機会は全3回の公募のうち各都道府県につき1回である。第1回申請は0拠点であり、大半の都道府県が第3回に申請している。第2回に申請した富山県・静岡県は、公募前から都道府県としての高等学校改革計画の基盤を有していたことがうかがえる。

区分申請採択採択率確認される事項
第1回
(2月27日締切)
0拠点0拠点公募開始から短期間での申請は確認されず、申請準備に相応の期間を要したことがうかがえる。
第2回
(3月31日締切)
2県8拠点2県6拠点75.0%富山県・静岡県。公募前から都道府県の教育改革計画の基盤を有していた事例である。
第3回
(5月15日締切)
45県171拠点36県69拠点40.4%大半の都道府県が集中。都道府県政策との接続と計画の具体性が確認の中心となる。
合計47県179拠点38県75拠点41.9%採択は38都道府県75拠点である。
図2 公募回別の採択率。第2回75.0%、第3回40.4%、累計41.9%。

3.採択上限額の全体構造

採択上限額の合計は1,328.7億円である。類型別の合計は、類型1が834.2億円、類型2が299.1億円、類型3が217.3億円である。類型別合計の単純合計(1,350.6億円)が全体合計と一致しないのは、類型2・類型3の重複採択拠点が類型別集計では両方に計上されるためである。

図3 採択上限額の全体構造。類型別の採択上限額合計と全体合計1,328.7億円の関係。

4.類型別の採択状況

図4 類型別採択件数。類型1が40拠点で最も多く、類型2は19拠点、類型3は17拠点。

図5 類型別平均採択上限額。類型1は平均20.9億円と規模が大きい傾向がある。

区分類型1類型2類型3
採択拠点数40拠点19拠点17拠点
平均採択上限額20.9億円(最大39.0億円)15.7億円(最大26.7億円)12.8億円(最大24.0億円)
拠点の中心工業22・農業14・水産5・商業1ほか(併置校は重複計上)普通科中心(理数科併設7校)定時制・通信制9、全日制普通科・総合学科8
県庁所在地に所在する拠点の割合27.5%(11/40)52.6%(10/19)41.2%(7/17)
学力向上・学習支援との連携57.5%(23/40)57.9%(11/19)88.2%(15/17)

5.採択事例から確認される主な傾向

  • 工業、農業、水産等の専門学科を中心とする拠点では、地域の基幹産業や成長分野と学科・実習・施設整備が結び付けられている。
  • 普通科等を中心とする理数系人材育成では、理数教育の充実にとどまらず、文理分けの時期、探究科目の単位化、入学者選抜、大学連携、進路支援まで含めて設計している。
  • 多様な学習ニーズに対応する類型では、不登校、外国につながる生徒、日本語指導、特別支援、定時制・通信制、離島・中山間地域等の具体的な支援対象を特定している。
  • 協力校の数そのものより、協力校ごとの役割、連携内容、実施頻度、成果の普及方法が具体化されていることが重要である。

6.国の事業実績等との関係

SSH等の国の事業実績は、補助事業の運営経験、成果報告の経験、校内外の連携体制等を示す材料となり得る。ただし、三類型全体を通じてみると、実績の有無そのものが採択の必要要件となっているわけではない。採択事例には、国の指定歴又は類似の事業運営経験を説明材料としているものと、指定歴が確認されないものの計画の具体性により実施可能性を示しているものの双方が含まれる。

類型国の事業実績等との関係計画確認上の観点
類型1SPH、マイスター・ハイスクール、産業界との実践事業等の経験を有する専門高校では、外部連携、実習、成果報告の経験が説明材料となり得る。採択事例では、当該実績の有無だけでなく、都道府県の基幹産業・成長分野と学科、設備、教育課程が接続しているかが重視される。過去の事業名を列挙するのではなく、今回計画における対象産業、人材像、学校設定科目、企業連携、施設利用、成果指標に接続して記載すること。
類型2採択19校のうち、SSH指定歴が確認される学校は6校(31.6%)、SGH・WWL等を含めた国の理数・国際系事業の指定歴が確認される学校は10校(52.6%)である。一方、国の事業指定歴が確認されない学校も9校(47.4%)採択されている。国の事業実績は探究活動、成果報告、校内運用体制の裏付けとなる。指定歴が確認されない場合は、教育課程の見直し、入学者選抜の工夫、大学・研究機関との継続的な連携、成果指標の明示により具体化することが望ましい。
類型3定時制・通信制課程、教育委員会設置の拠点、新設・再編の拠点等では、SSH等の指定歴よりも、都道府県の既存施策、学校機能、支援対象となる生徒の状況、学力向上・学習支援との連携が説明材料となる。類型3では17拠点中15拠点(88.2%)が学力向上・学習支援と連携している。過去の指定歴より、誰に対し、どの支援を、どの体制で実施するかを明確にすること。不登校、外国につながる生徒、日本語指導、特別支援、学び直し等のデータ及び支援体制を示すこと。

第2部 採択された計画に共通して確認される三つの要素

採択された計画には、地域課題の解決、産業・人材需要との接続、教育課程・成果指標・運用体制の具体性という三つの要素が共通して確認される。これらは個別の記載項目ではなく、都道府県単位の計画として相互に結び付いていることが必要である。

図A 採択された計画に共通して確認される三つの要素

1.地域課題の解決

採択された計画は、人口動態、就業構造、地理的条件、生徒の学習ニーズ等を、公表データ又は都道府県調べのデータにより具体的に把握している。課題設定が一般論にとどまらず、当該都道府県固有の状況から出発している点が共通している。

2.産業・人材需要との接続

都道府県の基幹産業・成長分野を特定し、大学・企業・関係部局の役割を明確にしている。産業・人材需要は名称の列挙ではなく、拠点校の学科、実習、施設整備、進路支援と結び付いた形で記載されている。

3.教育課程・成果指標・運用体制

科目、単位、入学者選抜、施設利用、成果指標、協力校への普及が一体で設計されている。連携や施設整備が単独の施策として置かれるのではなく、教育課程上の位置付けと成果指標への接続が明示されている。

4.都道府県単位の計画としての一貫性

上記の三要素は、都道府県単位の計画として相互に接続していることが必要である。事業目的、類型の趣旨、都道府県単位及び拠点単位の評価に対応する形で、地域課題、産業・人材需要、教育課程、成果指標が一体で構成されている。

5.採択事例に共通する五つの構造

  • 課題の特定:就業構造、理系進学率、不登校、外国籍生徒数、生徒数減少等を統計データで把握している。
  • 対象と人材像の定義:対象産業、人材像、支援対象となる生徒像を具体的に明示している。
  • 教育課程への反映:学校設定科目、単位認定、実習、探究、入学者選抜、進路支援等に落とし込んでいる。
  • 運用体制の明確化:企業、大学、関係部局、協力校、外部専門人材等の役割を明確化している。
  • 成果指標の設定:現状値、中間年、最終年で確認可能な成果指標を設定している。

第3部 申請準備において確認すべき7つの観点

採択事例の分析から、申請準備において確認すべき観点は次の7つに整理できる。これらは申請書の形式的な確認に用いるものではなく、都道府県単位の課題設定、拠点校の役割、教育課程、予算配分、運用体制及び成果指標などの要素を確認する上で参考となる観点として提示するものである。

観点確認する内容
1 審査要項・事業趣旨との整合性事業目的、類型の趣旨、都道府県単位及び拠点単位の評価に対応しているか。
2 拠点校・協力校の役割設計拠点校と協力校の役割、成果の普及方法、校ごとの関与が明確か。
3 地域課題の解決との接続人口減少、産業構造、地理的条件、学習機会等の課題をデータで示しているか。
4 産業・人材需要との接続都道府県の基幹産業・成長分野、企業・大学・関係部局の役割と接続しているか。
5 教育課程・探究・進路支援への反映学科、科目、単位、入学者選抜、進路支援に具体化されているか。
6 予算配分・施設整備・運用体制施設整備、人材配置、委託内容が教育計画と一体で説明されているか。
7 成果指標の設計現状値、中間年、最終年において成果を確認できる数値目標があるか。

第4部 採択事例に共通して確認される八つの構成

公表されている採択事例資料(様式4等の公開資料を含む)を確認すると、採択された計画には次の八つの構成が共通して確認される。いずれも、理念の記載ではなく、計画書に記載される具体性の水準として確認できるものである。

構成主な公表事例計画確認上の意味
1 都道府県又は学校が把握した定量データ島原農業:農家戸数28,282戸(令和2年)から15,241戸(令和27年見込み)への減少、保育・介護分野の人材確保等を県調べで提示。佐世保中央:県人口131万人から87万人への推計、不登校割合の全国比較。長崎鶴洋:漁業就業者の減少と海面養殖業産出額の88.2%増。都道府県単位の課題設定の妥当性を裏付ける。
2 教育課程への具体的な反映四日市工業:ものづくり創造工学科、全学科必修「半導体探究」、専攻科進学特別枠。魚津:3年次からの文理分け、全員履修「理数探究基礎」、理数系重視型の入学者選抜。島原農業:有償型インターンシップの単位認定。連携の宣言にとどまらず、学科・科目・入学者選抜・単位に反映されている。
3 現状値・中間年・最終年の三時点で確認するKPI(成果指標)魚津:理系学部進学者割合49.3%→55%→65%、科学技術への肯定感・効力感+10pt→+20pt。小杉:進路に満足している生徒の割合80%→90%。成果を三時点で確認可能にし、事業の説明責任に対応している。
4 連携先の名称及び役割長崎鶴洋:商船三井、九州電力、日本海洋ロボット協会等を役割付きで記載。島原農業:十八親和銀行、JA島原雲仙、島原市関係部局を特定。外部連携が抽象語ではなく、実施責任と教育内容に接続している。
5 協力校ごとの役割定義長崎鶴洋:上対馬高は普通科内での水産の学び、北松農業は食品製造分野の連携。四日市工業:協力校生徒への専攻科進学特別枠。協力校の数ではなく、校ごとの関与形態が具体化されている。
6 課題設定の明示島原農業:志願倍率、生徒数、学科数の推移を表で開示し、拠点化の必要性を示す構成。現状のデータから出発した計画であることを示している。
7 施設・設備と教育内容の対応関係四日市工業:半導体ラボと「半導体探究」。魚津:探究棟・バイオ環境ラボと「理数探究基礎」。佐世保中央:図書館のカフェ併設化と地域交流・自学自習。岐阜工業:実習棟とAI・DXカリキュラム。施設整備が教育課程の実施に必要な経費として説明されている。
8 成果普及の媒体及び方法小杉:日本語指導カリキュラムのオープンソース化。長崎鶴洋:6次産業化商品開発マニュアル。四日市工業:工業科教員研究会での年間指導計画の共有。成果普及が媒体・経路として具体化されている。

計画内容の確認に当たっては、「企業・大学と連携する」という記載だけでは十分ではない。連携がどの科目に組み込まれ、単位認定や教育課程にどう反映され、誰が指導し、どの施設を用い、どの成果指標で測定し、どの媒体で他校へ普及するかまで示すことが望ましい。

第5部 類型別にみる採択事例の特徴

本部は、審査要項に明記された類型別の評価の観点、採択75拠点の属性データ及び公表されている採択事例資料を照合し、採択された計画に共通して確認される特徴を類型ごとに整理する。各項目は、「確認される特徴」「確認根拠」「主な公表事例」の三段構成で記載する。なお、文部科学省は個別拠点の採択理由及び評価点を公表していないため、本部の記載は個別の審査結果を説明するものではない。

1.類型1 アドバンスト・エッセンシャルワーカー等育成支援(40拠点)

審査要項が類型1に求めるのは、(ア)デジタル技術等を活用し地域社会・経済を支える人材像と資質・能力の明確化、(イ)産業界等との連携による授業・実習をカリキュラムに反映した実践的・探究的な学びとその具体性、(ウ)専門職人材育成の魅力を高め、中学生・保護者を含む関係者に発信する計画、の3点である。採択40拠点には、この3観点に対応する形で次の五つの特徴が確認される。

1-1.都道府県の基幹・成長産業と拠点校の学科を明確に接続している

【確認される特徴】 採択拠点の事業計画名・計画内容には、対象とする産業が固有名詞レベルで明記されている。「どの産業の、どのような現場を支える人材か」が一読で分かる構成となっている。

【確認根拠】 評価観点(ア)「地域社会・経済を支える人材像の明確化」に直接対応する。全数データでは、産業直結型の工業拠点の平均採択上限額22.6億円は普通科拠点(14.2億円)の約1.6倍であり、都道府県の産業戦略と学科が接続する事例ほど採択上限額が大きい傾向が確認される。文部科学省側の公表発信においても、連携する機関名・企業名の明示が重要な要素として挙げられている。

【主な公表事例】 黒沢尻工業(岩手・29.3億円)は「地域の半導体人材養成」、四日市工業(三重・13.8億円)は「半導体で日本の未来を切り拓く5年一貫工業教育」と、北上川流域・四日市の半導体集積という地元産業構造を計画名に反映している。今治工業(愛媛・26.9億円)は日本最大級の海事都市における造船業の担い手育成、福島工業(25.6億円)は県のエネルギー政策と接続した人材像、小松工業(石川・23.7億円)は「南加賀製造業クラスターの進化を牽引」と、いずれも産業名と人材像を一体で示している。

1-2.育成する人材像を具体的に定義している

【確認される特徴】 採択拠点は育成する人材を独自に命名・定義し、従来の職業教育のイメージ刷新を計画の中核に据えている。専門分野とデジタル技術を組み合わせた人材像の提示が多く確認される。

【確認根拠】 評価観点(ウ)「専門職人材育成の魅力を高める計画」に対応する。文部科学省側の公表発信でも、専門高校の将来性を感じさせる変革が重視される旨が示されている。

【主な公表事例】 福島工業「フィジカルAIクリエーター」「エネルギーインテグレーター」、徳島科学技術「Tech-エキスパート(ロボット・AI・バッテリーを基盤とするデジタル×現場力)」、焼津水産「マリン・テック・マネージャー」、徳島商業「アドバンスト・ビジネス・エッセンシャルワーカー」、甲府工業「AEW育成のHUB」。市川工業(千葉・21.5億円)は「科学技術高校の創設」という校の再設計にまで踏み込んでいる。

1-3.企業連携を教育課程上の学びとして設計している

【確認される特徴】 採択拠点の企業連携は、課題持ち込み型のPBL(課題解決型学習)、共同開発、データ駆動の実習として教育課程に恒常的に組み込まれ、成果が製品・販売・特許等の実社会の出力につながる設計となっている。体験・見学にとどまる連携ではない。

【確認根拠】 評価観点(イ)は「産業界等との連携による授業・実習が継続的な取組としてカリキュラムに反映され」「内容に具体性があるか」を明示的に問うている。学校設定科目のどの場面で企業と連携するかまで具体化されていることが、採択事例に共通して確認される。

【主な公表事例】 浜松工業(9.0億円)は、地元企業の課題を現役技術者の指導の下で製品化につなげる産学官連携PBLを継続的に実施し、校内にアンテナショップ・EC拠点を整備、弁理士・研究者の助言により特許・意匠出願まで接続している。連携先はスズキ、浜松商工会議所、静岡大学、浜松市と実名で記載されている。焼津水産(15.9億円)は、はごろもフーズ、地元漁業協同組合、焼津市、東海大学と連携し、AIカメラ・自動給餌によるデータ駆動型養殖、協力校(静岡農業・藤枝北)との廃棄物活用飼料の共同開発、直売所での仕入れから販売までの実習を教育課程に組み込んでいる。岩見沢農業(北海道・15.0億円)や菊池農業(熊本・22.2億円)も、スマート農業技術の習得を企業・大学との共同プロジェクトとして常設化している。

1-4.KPI(成果指標)を地域産業への人材育成・接続で定義している

【確認される特徴】 採択拠点の成果指標は、進学率のような教育内部の指標にとどまらず、地元就職、製品化、担い手の育成・接続といった産業側の指標で設定されている。

【確認根拠】 本事業の制度趣旨(産業イノベーション人材育成等に資する)に対応し、公表されている類型1の成果指標は産業接続型のものが中心である。課題設定と成果指標が対になっている点も共通する。

【主な公表事例】 焼津水産は、漁業分野(養殖業を含む)就職内定者数を9人から15人(令和10年度)、20人(令和13年度)へ高める指標を設定している。浜松工業は、試作品が企業の本格的な製品化検討につながった件数を年5件から10件へ、研究テーマ関連学部への総合型・学校推薦型選抜による進学率を60%から80%へ高める指標を設定している。静岡県は、工業科の地元就職率約7割等の課題データから逆算しており、KPIが課題設定と対応している。

1-5.産業集積地又は地域課題を有する地域に拠点を置いている

【確認される特徴】 類型1採択拠点の72.5%(29/40)は県庁所在地以外に所在し、産業集積の現場や地域振興の対象地域に拠点が置かれている。中学生への魅力発信や地域一体の支援体制も、現場に近い立地の方が構成しやすい。

【確認根拠】 全数データにおいて、類型1の県庁所在地に所在する拠点の割合27.5%は全類型で最も低い。採択上限額に立地による差は確認されず(県庁所在地・それ以外とも平均17.7億円)、県庁所在地以外の立地が予算面で不利に働いている状況は確認されない。

【主な公表事例】 石川県は、建設機械等の製造業が集積する南加賀の小松工業を拠点としている。京都府は、府北部振興の課題に直結する宮津の海洋高校(31.1億円)を拠点とし、少数の協力校(5校)で水産・農業・工業領域を深く束ねる設計である。静岡県は浜松(西部)、焼津(中部)、沼津(東部)と広域に配置している。今治(造船)、天草(地域共創エンジニア)、新庄(最上地域の資源活用)も同様の構成である。

2.類型2 理数系人材育成支援(19拠点)

審査要項が類型2に求めるのは、(ア)理数系人材の量的・質的拡大、すなわち進路選択の幅を広げる取組と理数的素養を養う取組(大学等との連携を含む)、(イ)新たな教育内容を既存の教育課程の体系に取り込むこと、(ウ)文理横断的なカリキュラム編成と理系選択割合増加の明確化、の3点である。採択19拠点には次の五つの特徴が確認される。

2-1.国の事業実績等を実施体制の説明材料として活用している

【確認される特徴】 採択19校の過半は理数・国際系の国事業の指定経験校であり、補助事業を運営し成果報告を提出した実績が、実施体制の裏付けとして活用されている。一方、指定歴が確認されない学校も採択されており、実績の有無自体が要件となっているわけではない。

【確認根拠】 JST指定校一覧等との照合により、SSH指定歴が確認される学校は6校(31.6%:福島・高崎・千葉市立千葉・山口・脇町・高知小津)、SGH・WWL等を含めると10校(52.6%)である。指定歴が確認されない9校(47.4%)も採択されている。

【主な公表事例】 福島(22.0億円)はSSH第Ⅳ期指定校としての探究基盤の上に「福島から新たな価値を創出するイノベーター育成」を構築している。脇町(15.8億円)はSSH3期と認定枠の実績をデータ駆動型理数教育に発展させている。高知小津(4.1億円)はSSH4期連続から認定枠へ移行した学校であり、既存資産を活用する構成のため要求額が小さく、経費の必要十分性の面でも整合的である。SGH・WWL系では、岡山操山(20.1億円)・甲府第一(13.5億円)が国際探究の運営実績を文理横断探究に転用している。

2-2.探究活動の追加にとどまらず、教育課程・入学者選抜・指導体制の見直しに踏み込んでいる

【確認される特徴】 採択拠点は、既存カリキュラムへの講座の上乗せではなく、文理分けの時期、履修構造、入学者選抜、指導体制そのものを組み替えている。

【確認根拠】 評価観点(イ)「新たに取り組む教育内容を既存の教育課程の体系に取り込む計画となっているか」に直接対応する。

【主な公表事例】 魚津(富山・12.2億円)は、文理分けを3年次に1年繰り下げ、全生徒が「理数探究基礎」及び学校設定科目「サイエンス探究」を履修(探究6単位へ倍増)し、理科・数学・英語に比重を置いた理数系重視型の入学者選抜を導入、大学インターンシップを卒業単位に算入している。事業計画名も「入口から出口までの一体改革による質的転換」である。乙訓(京都・13.6億円)は「普通科教育の再設計」を計画名に据えている。山口(19.5億円)は、探究学習の高度化を県内主要校(徳山・宇部・下関西・岩国・萩及び附属中2校)の共通基盤として制度化している。

2-3.上位層の伸長と全生徒の裾野拡大を併せて設計している

【確認される特徴】 採択拠点の計画は、理数系に強い生徒への高度な支援に閉じず、全校生徒・文系選択層まで対象を広げる二層構造となっている。

【確認根拠】 評価観点(ア)が「量的・質的拡大」の双方を求めており、審査項目の共通観点も「一部の生徒のみを対象としたものではなく、学校全体として取り組む計画か」を問うている。

【主な公表事例】 魚津は「全生徒の理数的資質の開発」と「関心の高い生徒への強化」の二段階構成である。高崎(13.0億円)は計画名を「STEAM for All」としている。金沢桜丘(14.2億円)は「潜在的な理数系人材の掘り起こしと高度理数系人材の育成」の両輪を明記している。甲府第一(13.5億円)は、文理横断の探究に加え、大学生・大学院生を組み合わせた学習支援を併設し、裾野の拡大と上位層の伸長を別々の仕組みで支えている。

2-4.大学・地域産業との接続を進路実現まで設計している

【確認される特徴】 採択拠点は、大学等との連携を講演・出前授業にとどめず、指導人材の配置、単位化、地域の産業集積施策との一体運用として設計し、進路実現まで接続している。

【確認根拠】 評価観点(ア)の「大学等との連携を含む」に対応するとともに、都道府県単位の評価が求める首長部局・大学等・産業界も関わる課題設定・推進体制と整合する。知事部局の産業集積施策と接続した計画は、課題設定の妥当性を政策文書により裏付けている。

【主な公表事例】 沼津東(静岡・14.9億円)は、県東部の医療産業集積施策「ファルマバレープロジェクト」及び地域の理工系産業と一体の学際的探究を計画の柱に明記している。魚津は富山大学・富山県立大学と連携し、STEAMコーディネーターと大学院生等の探究アシスタントを校内に配置している。松江北(26.7億円)は、地元大学と連携した学習支援を併設し、県内の理数科設置校5校(松江南・出雲・大田・浜田・益田)を協力校として県全体の理数教育の体制を構成している。

2-5.理系選択率・理系進学率等のKPIを明示している

【確認される特徴】 採択拠点は、理系選択・理系進学の割合を、現状値からの増分として数値で明示している。

【確認根拠】 評価観点(ウ)「理系を選択する生徒の割合増加の実現に向けた取組であることが明確か」に直接対応する。

【主な公表事例】 魚津は、大学理系学部進学者割合を現状値49.3%から55%(令和10年度)、65%(令和13年度)へ高める目標を掲げ、科学技術への肯定感・効力感も+10pt、+20ptと段階的に設定している。富山県は、文系進学32.1%に対し理系21.4%という県データから課題を定義しており、KPIが県の理数系人材育成課題の解消度を直接測る設計となっている。

3.類型3 多様な学習ニーズに対応した教育機会の確保(17拠点)

審査要項が類型3に求めるのは、(ア)地域の状況・課題や生徒の学習ニーズの具体的な把握・分析とカリキュラム等への反映、(イ)必要な環境整備と学校間・外部機関との連携体制の構築、(ウ)生徒の興味・関心を喚起し卒業後の進路選択に資する工夫、の3点である。採択17拠点には次の五つの特徴が確認される。

3-1.多様な学びを具体的な学習ニーズとデータで定義している

【確認される特徴】 採択拠点は、「多様な学び」を抽象概念として扱わず、不登校の増加、外国につながる生徒の増加、日本語指導、特別支援、学び直し等の地域データで特定し、対象となる生徒像ごとの支援設計に落とし込んでいる。

【確認根拠】 評価観点(ア)「地域の状況・課題や生徒の学習ニーズを具体的に把握・分析し」に直接対応する。

【主な公表事例】 静岡中央(22.2億円)は、「5年間で生徒数12.6%減の一方、外国人生徒7.0%増、不登校23.4%増、いじめ認知63.9%増」という県データを課題設定の起点に明記している。小杉(富山・11.3億円)は、外国人生徒や特別な支援を要する生徒への支援体制の整備を課題に掲げ、日本語指導カリキュラムのオープンソース化まで普及方策に含めている。郡山萌世(福島・14.5億円)は「誰一人取り残さず学習が継続・発展する包摂的な学習基盤」、能代(秋田・3.3億円)は特別支援学校2校を協力校とする「多様性を包摂する未来型インクルーシブ教育」として、対象を明確化している。

3-2.学校と地域が連携・協働した学力向上・学習支援を組み込んでいる

【確認される特徴】 類型3採択17拠点中15拠点(88.2%)が、公営塾、放課後の学習支援、居場所の提供等の学力向上・学習支援と連携して事業を実施する計画である。

【確認根拠】 全数データによる(88.2%は類型1の57.5%、類型2の57.9%を大きく上回る)。必須項目「いずれかの拠点で地域と連携・協働した学力向上・学習支援を実施する計画」を類型3拠点が担う設計が多数を占める。

【主な公表事例】 静岡中央は、遠隔配信授業と公営塾を組み合わせた支援(学び直し相談、静岡産業講座、進路未決定率5%以下から2.5%へのKPI)を設計している。小杉は、学習メンターによる放課後支援「TERAKOYA」、地域連携PBL、自主活動「ミラパス」を組み合わせた多層型の学習支援を、地域連携コーディネーター、大学生、教員OB、NPOの重層配置により実施する。北条清新(愛媛・2.5億円)は、校内に地域連携型サポートルームを構築する。福島県は、3拠点共通で「放課後の居場所を活用した学力と学習意欲の一体的向上」を連携メニューとしている。

3-3.定時制・通信制課程の制度的見直しに踏み込んでいる

【確認される特徴】 採択17拠点中9拠点が定時制・通信制課程を有する学校であり、在籍形態や居住地にかかわらず学べる制度設計(転籍・転学の柔軟化、学習履歴・支援記録の一元管理、柔軟な時間割)に踏み込んだ計画が確認される。

【確認根拠】 評価観点(ア)の「教育手法・教育内容等を学校のカリキュラム等に反映し、実現する計画」に対応する。定時制・通信制課程の拠点化は、不登校、学び直し、働きながら学ぶ層という課題設定と構造的に整合する。

【主な公表事例】 静岡中央(単位制3部制定時制及び通信制)は、転籍・転学の柔軟化、学習履歴・支援記録の一元管理、進路・特別支援コーディネーターによる支援体制を明記している。前橋清陵(14.0億円)は「次世代型通信制フレキシブル・ラーニング拠点」、佐世保中央(12.9億円)は「社会とつながるフレキシブルハイスクール」として長崎県遠隔教育センター(DECTT)と離島・小規模校10校を束ねる。華陽フロンティア(岐阜・12.7億円)は、外部リソースを共有する「パートナーシェアリング」型の教育モデルを掲げている。

3-4.遠隔教育・デジタル技術を県全域の教育機会確保の体制として設計している

【確認される特徴】 採択拠点は、遠隔配信を単なるオンライン授業ではなく、配信拠点、受信協力校、巡回支援、共同探究のネットワークとして設計し、中山間地域・離島・被災地域の高校の学習機会確保と接続している。拠点校が「配信・支援の中心」であることに立地上の役割がある。

【確認根拠】 評価観点(イ)「環境整備や学校間・外部機関との連携体制構築」に対応する。採択事例では、拠点がネットワーク上でどの役割を担うかが具体化されている。

【主な公表事例】 奥能登未来創造センター(石川・24.0億円)は、震災からの復興と一体で「各市町に高校を残す」ことを目的とし、輪島・珠洲等の5校を遠隔・巡回で支えるネットワーク型の拠点である(学校ではなく教育委員会設置機関が拠点となった全国唯一の事例)。都留(山梨・6.7億円)は遠隔配信センターを併設し、県内の総合学科・商業科・特別支援学校・村立中学校まで12前後の協力校に配信する。小豆島中央(香川・10.5億円)は「課題先進地域ならではの、あらゆる進路に開かれた教育拠点」として島内小中学校及び県内普通科高校を束ね、個別最適・伴走型の学習支援を組み込む。北海道有朋は、全道63協力校への配信網により「教育ネットワークモデルの構築」を掲げている。

3-5.居場所づくり、相談支援、進路支援等を成果指標に接続している

【確認される特徴】 採択拠点は、居場所づくりや個別最適といった生徒支援の取組を、進路満足度、進路未決定率、単位修得、相談利用件数等の成果指標で測定可能にしている。生徒支援の充実にとどめず、成果に至る道筋を示している。

【確認根拠】 評価観点(ウ)「卒業後の進路選択に資するような工夫」に対応する。採択事例では、支援の取組と成果指標が対応付けられている。

【主な公表事例】 小杉は、進路に満足している生徒の割合を令和10年度80%から令和13年度90%へ、自主活動「ミラパス」の充実感を80%から90%へと成果指標化し、「余白の時間」から自己理解、主体的な進路形成に至る道筋を明示している。静岡中央は、支援を受けた生徒の進路未決定率5%以下から2.5%、教育環境満足度50%から85%、95%、公営塾設置校1校から3校(普及指標)を設定している。華陽フロンティアは、地域企業等との接続を成果目標に据えている。



第6部 類型横断で確認される五段構造

第5部で整理した類型別の特徴を並べると、三類型に共通する構造が確認される。すなわち、①課題を統計データで特定し(就業構造、理系進学率、不登校・外国籍生徒数等)、②対象と人材像を具体的に定義し(産業名・人材像、全生徒を含む二層構造、支援対象となる生徒像)、③教育課程の構造にまで反映し(カリキュラムへの常設、文理分け・入学者選抜、転籍の柔軟化)、④実施体制と連携先を明確に配置し(企業技術者、コーディネーター、学習メンター・公営塾等)、⑤成果指標を数値で明示する(地元就職・製品化、理系進学率、進路満足度・進路未決定率)、という五段構造である。類型ごとの中身は異なるが、審査項目への対応の仕方は共通しており、計画内容の確認に当たっては、この構造に沿ってどの要素を確認するかを整理することが有効である。

設計要素類型1類型2類型3
課題の起点データ地域の就業構造、地元就職率、産業の担い手の確保理系進学率、文理選択比率不登校、外国籍生徒、中途退学、生徒数減少の実数
人材像・対象の定義産業名と独自に定義した人材像(Tech-エキスパート等)上位層と全生徒の二層構造(STEAM for All等)支援対象となる生徒像の特定(不登校、外国につながる生徒、学び直し等)
教育課程への反映産学連携PBL・実習をカリキュラムに常設文理分けの繰下げ、探究単位の拡充、理数系重視型入学者選抜多部制、転籍の柔軟化、余白の時間、支援記録の一元化
実施体制企業の技術者、コーディネーターの配置STEAMコーディネーター、大学院生等のアシスタント学習メンター、公営塾、多職種連携(88.2%が学力向上・学習支援と連携)
典型的なKPI地元産業への就職者数、製品化件数理系学部進学者割合(49.3%→65%等)進路満足度、進路未決定率、単位修得
立地の傾向産業集積地・第二都市(72.5%が県庁所在地以外)県庁所在地・地域中核の伝統校(52.6%が県庁所在地)県全域への配信・支援ネットワークの中心
主な公表事例焼津水産、小松工業、黒沢尻工業、今治工業魚津、福島、脇町、沼津東、松江北静岡中央、小杉、奥能登未来創造センター、佐世保中央

第7部 地域課題の解決と地域バランスを考慮した拠点配置

採択事例では、産業軸の拠点と地域課題軸の拠点を分担させ、都道府県全体をカバーする配置が確認される。複数拠点が採択された都道府県では、類型1・2・3が同じ説明の焼き直しではなく、それぞれ都道府県の異なる課題を担う構成となっている。

都道府県拠点配置の構成(採択事例)配置から確認される考え方
石川小松工業(南加賀の製造業集積)、奥能登未来創造センター(震災復興・地域)、金沢桜丘(理数系の裾野拡大)産業軸、復興・地域軸、理数系人材育成軸を分担している。
和歌山和歌山工業(県都の重化学工業集積)、新宮(紀南地域の理数系人材育成)、貴志川(地域の教育機会確保)新宮は「地理的条件の不利を超えた理数系人材育成」として、地域課題の解決軸を事業名に明記している。
静岡浜松工業(西部)、焼津水産(中部)、静岡中央(県全域の配信・支援の中心)、沼津東(東部)県内4地域をカバーする広域配置である。高校の在り方に関する地域協議会等、公募前から都道府県政策の基盤があった。
長崎島原農業(半島地域)、佐世保中央(県北の中核都市)、長崎鶴洋(水産・離島接続)離島・半島を含む県の地域構造を、教育拠点の配置として表現している。
京都京都海洋(宮津・府北部振興)、乙訓(南部・普通科教育の再設計)京都海洋は、府北部振興という知事部局の課題を教育に取り込んだ事例である。
香川小豆島中央(離島・課題先進地域)規模の小さい県でも、地域課題への焦点化により採択事例が確認される。
北海道有朋(札幌・全道63協力校への配信網)、岩見沢農業(道央の農業)広域分散型の道県では、配信・接続の結節機能そのものが地域課題の解決となる。

これらの事例から確認されるのは、拠点校を、産業集積地、地域課題を有する地域、又は複数地域をつなぐ拠点としての役割から選定するという考え方である。県庁所在地以外の立地は結果であって目的ではなく、産業の実在地、地域課題の所在、配信・支援ネットワーク上の役割から拠点選定を説明できることが重要である。

第8部 教育課程・外部連携・成果指標の具体化

採択事例では、大学連携、企業連携、探究学習等の項目が抽象語のまま置かれず、科目・単位・時間・評価・普及媒体まで具体化されている。計画内容を確認する際の観点を次に整理する。

確認項目計画内容に具体化する際の観点
大学連携大学研究室でのインターンシップ、編入・進学を見据えた教育課程、大学生・大学院生による探究支援等の形態を特定し、理系進学等の成果指標への接続まで設計する。
企業連携企業名、担当役割、見学・実習・教材提供・共同開発等の関与形態、対象科目、実施時間、成果物、評価方法を明記する。
探究学習全員履修科目・学校設定科目としての位置付け、単位認定、入学者選抜との関係、成果発表の場、協力校への普及方法を設計する。
AI活用どの科目・時間・生徒支援の場面でAIを活用するかを明確にし、教育課程上の役割と一体で説明する。単独の施策として切り離さない。
施設整備新設科目・学科・実習内容との対応関係、使用する科目・学年・担当者、協力校の利用、維持管理の方法を明記し、教育課程の実施に必要な経費として整理する。
協力校への普及協力校ごとの役割、実施内容、実施頻度、普及媒体(マニュアル、教材、教員研究会、オープンソース化等)を定義する。
KPI現状値・中間年・最終年の三時点で確認できる指標を設定し、生徒の進路、単位修得、地域産業への人材育成・接続、教材普及等の成果に結び付ける。

第9部 事業実施に向けた確認項目

各都道府県においては、採択事例の特徴を形式的に模倣するのではなく、管内の産業構造、地域課題、生徒の状況、既存の教育施策との整合を確認した上で、次の事項を整理することが望ましい。

  • 県の人口推計、就業構造、産業分布、理系進学率、不登校、外国籍生徒、定時制・通信制課程の状況等を、公表データ又は県調べのデータにより確認して、課題を特定すること。
  • 拠点校を選定した理由を、学校の既存実績だけでなく、県内産業の実在地、地域課題、交通条件、協力校への波及可能性等から説明すること。
  • 企業、大学、関係機関等との連携について、相手方の名称、役割、実施場面、実施頻度、成果物を明記すること。
  • 施設整備及び備品整備について、使用する科目、学年、実習内容、担当者、協力校への開放、維持管理の方法を明記すること。
  • 成果指標について、活動量ではなく、生徒の進路、単位修得、地域産業への接続、教材普及等の成果を測る指標を設定すること。

事業実施に向けた内部確認には、次の表を用いることができる。

区分確認内容
課題設定・拠点校の設計・人口動態、就業構造、産業分布、生徒の状況等をデータで示しているか。
・拠点校の立地、学科、既存の取組、県内での役割を説明できるか。
・協力校ごとの役割、実施内容、普及方法を定義しているか。
教育課程・外部連携・学校設定科目、単位、実習、探究、入学者選抜、進路支援に反映しているか。
・企業、大学、関係機関等の名称、担当役割、実施場面を明記しているか。
・整備する施設・備品と教育内容の対応関係を説明しているか。
人材配置・成果指標・コーディネーター、専門人材、学習支援員等の役割と稼働方法を定めているか。
・現状値、中間年、最終年で確認できる指標を設定しているか。
・成果指標が生徒の進路、単位修得、地域産業への接続、教材普及等に結び付いているか。
事業運営・普及・継続性・教育委員会、首長部局、学校、外部機関が参画する会議体を設けているか。
・教育課程、施設整備、外部連携、成果指標を同一の管理表で確認できるか。
・事業期間終了後を見据えた継続方策、関係部局との役割分担を整理しているか。

注記

  • 文部科学省は、個別拠点の採択理由及び評価点を公表していない。本資料における「採択事例の特徴」は、審査要項、公表資料及び採択拠点の全数データを照合して整理したものである。
  • 本資料は、採択された拠点の公表情報及び属性データを基に、各都道府県が計画内容を確認する際の観点を整理したものであり、個別の審査結果を説明するものではない。
  • 採択上限額は、今後の交付手続により変動する可能性がある。
  • 類型別の集計には、類型2及び類型3に重複して計上される拠点が含まれる。
  • 本資料で用いる「現状値、中間年、最終年」とは、原則として、事業開始前又は直近の実績値、事業期間の中間年度、事業最終年度の値をいう。
  • 数値は、文部科学省公表資料及び採択拠点の属性データを基に整理したものである。

最後に

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    この記事を書いた人

    プログラミングスクール運営のノウハウを元に、行政・法人向けのIT研修やDX支援サービスを提供。経済産業省・IPA「マナビDX クエスト」の認定事業者。文部科学省が推進する「N-E.X.T.(ネクスト)ハイスクール構想」の申請支援から、先導拠点校(類型1〜3)の高度教育実装、教員の働き方改革(校務DX)、そして産業界への出口戦略までをワンストップで支援する教育改革実装パートナーです。

    【主な実績・認定】

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    ・同プログラムにおいて年間1,000名規模の人材を育成し、令和7年度の受講者修了率100%を「全国唯一」達成。

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